◆落書き◆
幻水2/坊→ラスカ・2主→クウ
軍名ナナミ軍・城名ナナミ城
「♪あーばーんちゅーねぃおー♪あーんてーすらーんちぇんもー♪」
晴れた空の下、のんきな歌声が流れている。
都市同盟、年若きリーダー、クウ率いるナナミ軍本拠地、ナナミ城。
誰が軍主だよという当然のツッコミはさておき、ナナミ城は激戦の合間の、束の間の平和にまどろんでいた。
「お兄ちゃん、その歌なに?何の歌?」
地面に石や白墨で落書きをしていた子供たちの一人が、一緒になって落書きをしている少年に尋ねた。
子供の明るい声に、少年は嬉しそうに答える。
「トラン共和国っていう国の国家だよ☆」
「おいコラ、ラスカ。ウソを教えるんじゃない!」
すかさずツッコんだのは、自称留学中の、トラン共和国大統領の一人息子、シーナ。
「だったらレパントさん説得して、あの像どうにかしてよ」
「いや、それとコレとは別だろ…」
「ぼく、知らなーい」
再び子供たちと落書きに戻った、赤月帝国を倒したはずの英雄に、シーナは溜め息をこぼした。
トランの城の一角にある、かの英雄の姿を模した胸像。
それが本人には、甚く気に入らないらしい。
破壊しようとしては止められ、落書きしようとしては阻まれ、挙げ句、抗議しようと顔を合わせた大統領には
"等身大全身像を造るから型を取らせろ"と拝まれたらしい。
それで城の近くにある自宅にはいられず、先日知り合ったクウに誘われるまま、ナナミ城に滞在しているというワケだった。
「しかし…お前って、大人なんだか子供なんだか、よく分からない性格だよな…」
楽しげに落書きを続ける戦友に、シーナは暇そうに欠伸をした。
地面には、ウサギやらふさふさやらムササビやらが、所狭しとゴロゴロ飛んでいる。
「んー、平面は飽きたな。そろそろ本番に行こうかな…」
「…本番?」
「うん、本番。シーナも一緒にどう?」
準備はできてるんだ、と笑うラスカに、シーナは得体の知れない寒気を覚えたのだった…。
++++++++++++++
「ふふふー、昔イワノフに、たくさん絵の具もらったんだーv」
嬉々として筆に絵の具を付けるラスカ。
その前には、何も知らずに眠りこけている、青雷のフリック。
「お、おい…」
べちゃっ。
「大丈夫、ちゃんと一服盛っといたから☆」
ぺたぺたぺた。
シーナが止める間もなく、ラスカは大胆に筆を走らせ始めた―もちろん、フリックの顔に。
ペタペタ、ぺちゃ、べちっ。べしっ。べしっ!べしっ!!
「ラ、ラスカ…やり過ぎじゃないか…?」
だんだんと乱暴になっていく筆さばきに、シーナが恐る恐る声をかけた。
振り返ったラスカの顔には、満面の笑み。
「いいんだよ。三年も人の事、散々心配させたんだから。さて、次はビクトールの所に行かなくちゃ」
憂いを帯びた瞳に、いたいけな笑顔。状況が状況なら、抱きしめて守ってやりたくなるような。
「ビクトールの手抜かりの所為らしいから、あっちはもっと念入りに描かないとねー」
だが、やる事と言う事は怖ろしい。
「油絵の具って、なかなか落ちないんだって〜。明日の会議、クウに頼んで混ぜてもらおうかな♪」
触らぬ神に、祟り無し。
シーナは黙って、ラスカの復讐☆落書きツアーに同行したのだった…。
Fin.
言い訳後書き
幻水初お笑い小説、「落書き」でした。
人の顔に絵の具を塗りたくる坊ちゃんが書きたかったという…へぐぅ!←!?
2のグレッグミンスターの城。
何ですか、あの部屋は。坊ちゃん記念館かよ…!
先着100名様には、限定坊ちゃん缶バッジをプレゼントか!!
きっと坊ちゃん饅頭とか坊ちゃんTシャツとか、果ては坊ちゃん写真集とか売ってるんだ…!(´д`;←暴走
…え〜と。
次も、お笑い系を一本キープ中です☆
2003年12月