FORGET ME NOT.
互いに求め、孤独を慰めあった日々はすでに遠く、ただ空から降りおりる真っ白な雪だけが変わらない。 そして舞い散る羽根は紅く染まり、命の灯火は白く尽きていく。 これ程までに、痛みの伴わないものだとは思わなかった。哀しいくらいに痛みの無い終焉、別離。 共に永遠を歩んだ。いつかは訪れるであろう別れを感じながら、永遠を諦めて。 「僕は、貴方を憎んでいません」 うるんだ瞳は、歪んだ表情は、痛みの為か…悲しみか憐れみか。 その答えを知る術は無いが、知る必要も無いだろう。 「僕の後を追うことなんて、許さないよ」 記憶も思い出も、こんなにも時にさらされて風化している。 出会いの記憶、笑みを交わした日々。どんなにかすかでも、それらを連れて往けるだけで幸せなのかもしれない。 変わらないものなんて無い。物も生命も、そして心も。 夜空に輝く星々でさえも、いつしか燃え尽きて消えていくのだ。まして形の無いものなら、なおさら儚い。 「君なんて…君なんて」 ならば。 ならば、その久遠の心に爪痕を残そう。深く濃く強く、いつかは訪れる最期の時まで忘れられぬ位に。 憎しみでいいのだから。愛情でなくてかまわないのだから。 …ただその心の中に、一時でも永く生きていかせて欲しい。 もうすぐ消えてしまうから。君を独り残して、独りで。 けれど願わくば、僕の消滅から彼が得るであろう悲しみと罪悪感をも連れて往けますように。 いつか溶ける、降り積もるあの純白の雪のように、雪と共に。 そしてどうか、この心にも降り積もらせてほしい。 あの笑顔を忘れないように、思い出せなくなるくらいに…。
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初SSがエンディングネタって、何だかすごく微妙な気がしますが(=_=; ベリルに憎まれていないと知って、それでも憎まれ口を叩くセレス様。なんでかなぁ考えたら、こうなりました。 自分が誰かを残して逝く経験はまだないのですが(当たり前やん)、珍妙な気分だろうなぁ。 このままセレス様について語ると、本編より長くなるのでやめておきます…。自主規制。 |
FORGET ME NOT=勿忘草、花言葉…私を忘れないで