Newborn Baby ※ブラウザ1024×768対応背景使用
ネオンの溢れる眠らない夜の街、空には銀色の満月が妖しく輝いている。 小さな教会の屋根、大きな十字架の上。ネオンに存在感を奪われた月に、人影が浮かび上がる。 少年と呼ぶには大人びた、青年と呼ぶにはまだ幼い。彼の闇色のインナーの胸元で、 街の中央にそびえ立つ、厳格な老人を思わせる巨大な時計塔。 彼は白いコートを軽やかに風に舞わせて地面に降り立ち、黒いアスファルトの上で震える、 ふいに彼の姿が、ふわりと夜空に舞い上がった。人にあるまじき跳躍力で、高いビルの上を跳び渡る。 ビルの谷間、月明かりさえ届かない細い路地裏に、前触れもなくするりとその姿が沈んだ。
暗く狭い路地裏、深夜の街に似つかわしくない幼い少女が、ぼんやりと古びた木箱の横に立っている。
目の前に人が立っている事さえ気に止めぬ風に、少女は黙ったまま、虚ろな瞳で地面の一点を見つめている。
少女の栗色の瞳に、ふと温かな光が灯る。
「うん、ありがとう!」
荒れたアスファルトを蹴り、彼は再びビルの屋上へと躍り出る。その足元には、またあの弱々しい光。 向かいのビルの屋上から、人が重力に引かれて落ちた。手を伸ばしかけた光が、ふつりと消えた。 彼の薄い唇が、宙に小さく言葉を浮かせた。
その影が再びいずこかへと消えた後も、街にはネオンが溢れ続ける。 白い月が、静かに空に浮かんでいた。
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6作目の囁ピエ、[Newborn Baby]でした。 現実的な幻想世界、ミリ単位の現実=「ミリリアル」。 04.06. |