午前0時

今日は雪が降っている。

雪の夜はこんなに明るくて、それでも人は歩いていない。

雪は冷たく空気は凍えるのに、

踏み出した足の感覚は春の日差しよりもやわらかい。

至極自然なことが不自然で。


小さくいびつな雪人形は、

白く広い世界に溶け込んで、誰にも気付かれないかもしれない。

風に倒れるかもしれない。泥に汚れてしまうかもしれない。


けれど。

一人くらい、微笑んでくれるかもしれない。


生まれたから生きるのか、生きる為に生まれるのか。

薄明るい夜空に向かって大の字に寝転ぶと、

生きる理由も生まれた理由も必要ないと思った。

そこに在るだけでいい気がした。


明るい夜、白い現、かじかんだ手、ゆきだるま。深い足跡。

そういうものなんだろうなぁって、思った。

モドル


解説

人に会うのが苦手な私は、雪が降ると、夜中に雪遊びを始めます。
誰もまだ歩いていないから、一面平らで絶景。余計な物も見えないし(笑)

一時間くらい一人で遊び歩いてから、家に入ってすぐに書いた散文でした。
広くて白い涼やかな空間にいると、心に余裕が出来る体質のようです。流石2月生まれ。