遺信
この世界のどこにも、もういないのに。 風は柔らかく、緑の中に子供の声が踊る。 いない世界は、もっと悲しい色をしていると思った。
優しい記憶に埋もれて、このままひとり立ち止まってしまおうか? 律儀に刻み続ける時計の針を、ひたりとこの指で止めて。
乗り越えようなんて思わなくても、一日は終わっていく。
消えない寂しさは、存在した証だから。
会えて、幸せでした。 Fin. |
解説
蛇足になる事みえみえなので、あまり語らずに。
今日は、大切な人の命日です。
随分時間が経つのに、いまだに引きずっています。やれやれ。
多分ソレは、彼にとっては本望じゃないだろうなぁ。
いっそ言葉にしてしまえば、気持ちも成仏できるかなぁと思いました。
ちょっと割り切れた感じがします。
死ぬまで抱えていても、きっと構わないよね。
いつかは私もろとも消えるのだし。
2004年7月9日