◆優しい体温◆
幻水1以前/坊→ラスカ
晴れていた空は嘘のようで、テッドの天気予想は大ハズレで、空は冗談のような暗雲。 遊び兼修行兼狩りは中断、突然の豪雨は容赦なく森の木の葉を通り抜けて、二人を襲った。 雨宿り先を求めて走り回って、ようやくここ―浅い洞に滑り込んだわけだが、問題がひとつ。 木こりか狩人が使う洞なのか、運良く薪があった。 雨に追い立てられた二人は、すっかり迷子だった。
前髪から落ちる雫を片手で払いながら、洞の入り口で外を見ていたラスカが、ぼんやりと呟いた。 「あーもう、いいからさっさと脱ぐ!風邪引くだろ」 動く気配のないラスカを、テッドが引きずるようにして火の前に座らせる。 仕方なくテッドが、軽装だがきっちり着込んでいるラスカの服に手をかける素振りを見せる。 「テッド、道分かる?」 外したバンダナの飾り紐を指先で弄びながら、ラスカは再び外に目をやった。 特に身体が弱いというわけではなかったが、飛び抜けて強いという事もない。 「本当に寒くないか?」 …でも、やっぱり少し白いよなぁ。こいつ、自分でも気付かないうちに無理するタチだし。 そんなことを考えながら横顔を眺めていると、ふいにこちらを向いた。琥珀色の瞳。 あぁ、この瞳だったっけ。発つ決心を挫いて、頼んでもいない居場所と心地よさをくれたのは。 少し首をかしげて、また雨へと視線を戻したラスカに、テッドは音もなく立ち上がった。 ラスカの背後に回りこみ、そっと腕を回して腰を抱く。 それでも警戒する気配は見えない。 「やっぱお前、身体冷えてる」 離れる事を促すような言葉に、テッドは内心で眉を寄せた。 「…なぁ」 言い訳を考えかけて、素直に"離れたくない"と言おうかとも考えて、やっぱり言い訳を適用する事にした。 「おれは寒いから、こうしてていいか?」 困ったような小さな笑い声がして、かすかに背中が揺れる。 温かな体温が愛しい。抱きしめた腰の細さが愛しい。 ラスカの首筋に埋もれて吸う空気は、かすかにラスカの匂いがした。
自宅に戻ったテッドが、鼻に記憶されたラスカの匂いを思い出して、 忘れていた夕食の誘いをしに彼の家を訪れたラスカが、うっかり窓から中を覗いてしまい、
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テド坊っていうか、テッド→坊…? 細腰だの匂いだの、私的に恥ずかしい単語に挑戦してみました。 つまり、好きなんです。ロマンですよ腰!腰ラヴ! 2005年2月 |