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| Missing child Scene2 |
逆さに置かれて地面にキスしているゴミバケツに、ボクは何度目かの溜め息をついた。
ソレをそうしたのは、ボク自身だ。
何度か道を曲がったけれど、間違ってもココに戻ってくる道じゃなかった筈なのに。
どれくらい彷徨ったんだろう。
久々にかなりの距離を歩いた所為で、足はキリキリと悲鳴をあげている。
時計の役目も果たしていた携帯を置いてきてしまったから、正確な時刻は分からないけれど…
青かった空は、スモークに汚れたオレンジ色にすっかり染まっている。
どこまでも同じような―実際同じなのかも知れないけれど―景色にいい加減嫌気がさして、
ボクは手近な木箱に座った。
ポケットを探って、朔羅に貰ったチョコレートを引っ張り出す。
"疲れたときは甘いモノ"って、花月クンも言ってたし。
そのまま少し休んで、チョコをかじりながら、ボクはまた歩き出した。
遭難したときは大人しく救助を待つのが賢明だって十兵衛は言ってたけど…
これ以上迷子を出すワケにはいかないし、十兵衛だって戻って来られたんだし☆←酷
道が左に折れてる。
ぐにゅっ、ぶにっ。
うわ!何か踏んだ!ていうか、思いっきり踏み越えた!
「う〜ん、士度はん…ナイスツッコミで…す…(-_-)b」
「…笑師?」
「ぐ〜…すぴー…(-_-)」
「キミ、なんでこんなトコロで大の字で寝てるワケ?ほら、起きて」
「ぐー…(-_-)」
…殴っちゃおうかな…ノートパソコンで(-"-)
「はッ!?なんや、この鋭い殺気は!?Σ(○д○;
…あれ、MAKUBEX。こないな所でどないしたん?」
大きな欠伸をして、笑師がのんきに笑った。状況分かってるのかな…(汗)
「…もしや!わざわざ危険を冒してまで、ワイを探しに来てくれたんですか…!?」
「あ、いや…ちょっと様子を見に来たら、迷っ…」
「ありがとうございますー!
ワイ…ワイ、感動のあまり、目から心の汗が…ッ」
「いや、だから違―」
「よっしゃ、ワイも男や!
こんな壁の一枚や三百六十五枚、ワイの楼蘭武闘鞭でぶち破ってみせますー!
MAKUBEXは危ないから、退がっときv」
笑師ははりきってるけど…
建物の中に繋がる道が一つもないし、建物の配置も頻繁に変わってる。
視覚的な仮想空間には左右されない十兵衛が「歩いて」帰ってきたって事は―
「行くで〜!楼蘭武闘鞭、メラ・ノ・シオーリゃあああ!!―のわぁっ!!(>д<;」
あ、はじかれた。やっぱり。
「ええとね、笑師。この区域一帯、どこかで発生してる強力な電磁波の影響で、
実体により近い仮想空間の建物と道が作られてるんだと思う。
それが、本来ココにあった建物に上書きされ続けている所為で、キミの技でも壊せない―
ついでに十兵衛の"目"でも見分けの付かない空間になってるんじゃないかな」
「…?は?(・д・)」
「だから…」
「…MAKUBEX」
ぽん、とボクの頭に手を乗せて、笑師はいつになく真剣に…でも、優しく笑った。
「大丈夫、ワイに任せときv(>▽<)b」
「…だから、そうじゃなくて…(-_-;」
「おりゃあああ!―ぐわぁッ!!」
朔羅。お家が遠いです…(泣)
「負けるかぁ!でりゃあああ!―おわッ!?」
「え…!?笑師!?」
懲りずに壁に向かって技を繰り出した笑師が…するりと消えた。
…笑師が壁に食べられた!?