| ないた赤おに 白泉社 作/浜田廣介 絵/いもとようこ |
これも子供向けですが、大人の擦れた心にこそ優しい薬になるかもしれません。
人間と仲良くなりたい、心の優しい赤おに。けれど人は、相手が鬼というだけで恐れて近付かない。
そんな赤おにに、青おには提案を持ちかける。僕が村で暴れるから、キミが懲らしめるフリをすればいい―
偏見の悲しさ・愚かさと、無償でただひたすらに他人を思いやる心。
ちょっと物悲しいけれど、人としてこうありたい、と思えるような綺麗なお話でした。
その後の幸福を願わずにはいられない物語って、久々だったかも。
イラストは可愛い猫の絵で有名(多分)な方で、鬼なんてひたすら怖そうな題材なのに、
愛嬌のある可愛い、けれど力強い鬼になっています。すごく微笑ましい…(´∀`)
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| 100万回生きたねこ 講談社 作・絵/佐野洋子 |
子供向けの形を取っているものの、大人にもいい感じの絵本。
何度も死んでは復活し、多くの人に飼われ、多くの時を流れてきたネコ。
おれは100万回生きたのだと驕る彼の前に、彼に靡かない、綺麗な白猫が現れて…。
生きていく上で、遅かれ早かれ、必ず触れる"生と死"を描いた物語。
重いけれど、ただ辛いだけじゃない…とか言うとネタバレっぽいので黙秘権(今更…)
力強いタッチで描かれた生命力溢れる絵が、物語の結末に激しく響きました。
とても簡単なんだだけれど、すごく深いお話。
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| うろんな客 河出書房新社 作・絵/エドワード・ゴーリー 訳/柴田 元幸 |
難しい漢字や言葉が普通に出てくる、大人向け絵本。「まったき動物園」と同じ作者です。
ヴィクトリア朝の館に住む一家の元に、突然転がり込んできた、謎の生き物。
当然のように家族に混ざるその生き物は、数々の奇妙な癖を持っていて…。
謎の生き物、"うろんな客"が物凄く可愛い。行動が不可解なところが、また…v
絵はモノクロの線画、少々不気味にも見える…のかな?可愛いと思うんだけれど(汗)
深読みすれば、"うろんな客"の行動や周囲の反応が提示している"客"の正体がうっすらと
見えてきそうですが、純粋に不思議な物語として楽しむのも、また素敵です。
これも、英文と訳文が同じページに書かれています。
英文ではそれほど難しい単語もないので、お子様でも大丈夫だと思いますが…
訳された文だと、リズム重視で難しい言葉が使われているので、少々厳しいかな。
タイトルの"うろんな"は、漢字で"胡乱"、意味は「怪しい」「うさんくさい」でした。
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| うまかたやまんば 福音館書店 再話/おざわとしお 画/赤羽 末吉 |
読んであげるなら4歳から、自分で読むなら小学生低学年向き…だそうです。
馬方(馬を使う人)が荷を持って帰る途中の事、運悪くやまんば(山に住む鬼婆)に追いかけられる。
積み荷も馬さえも、やまんばに食われた馬方。山小屋に逃げ込んだ彼の運命はいかに…。
不気味な絵を添えて語られる物語は、昔話特有の、残酷さと恐怖を秘めています。
宮城県登米郡に伝わる昔話からの再話だそうです。ヘタな怪談よりか怖いですよ、これ。
やまんばの恐怖を余すことなく表現しきった、力強い絵。
物語との相乗効果で、より恐怖をあおる、すさまじい罠が仕掛けられています。
ひらがなのみの文で、確かに子供向けなんですが、話が…夜眠れなくなるのではないかと(苦笑)
小学校中学年くらいになれば平気かな?
幼稚園年長当時に読んだ時は、激しく怖かったです。
なにせ、この絵本自体を厳重に封印したくらいですから…(笑)
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| まったき動物園 河出書房新社 作・絵/エドワード・ゴーリー 訳/柴田 元幸 |
大人向けの絵本。難しい漢字が遠慮なく使われています。
英語が読めれば子供でも平気かと思われますが、意味の難しい言葉があるかな…。
AからZまでのアルファベットを名前の頭に抱く、26種類の不思議な幻獣たち。
韻を踏んだ読みやすい英語で短く語られる幻獣たちの生態は、不可思議で華麗で、ちょっと不気味。
細いモノクロの線で描かれた幻獣たちは、皆どこか不気味で…ものごっつ可愛いです。ラヴ!
静かな…というより、むしろ閑散とした、といった雰囲気の漂う、どこか淋しげな絵本。
英文と訳文が同じページに載っているのも、ちょっとありがたいです。
意味を一目で確かめながら、原文の音も楽しめる。訳文だと、韻も何もなくなりますからね〜(汗)
タイトルの"まったき"は、古語の"全し"、「完全な」という意味だそうです。
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| ぎんいろのねこ 小学館 作・絵/あまんきみこ 絵/黒井 健 |
子供向けの絵本です。振り仮名完備、漢字は小学二年生程度でしょうか。
薄汚れた白ネコ、通称どぶしろ。とても賢いノラネコで、色々な食べ物を盗られて、お母さんはいつもカンカン。
ある夜、公園に忘れた絵本を取りに行くと、絵本を読む声。絵本の前には数匹のネコの姿が…。
ほわほわとした色調と線の絵の中で語られる物語は、これまたほわほわとした、ほんのり優しい物語。
読むと、ほっとします。"癒し系"を狙った絵本よりも、自然と生まれた優しい絵本に癒されるなぁ。
可愛くて綺麗な絵です。お子様が見ても、多分泣きません。普通の可愛い絵本…初語りですね(笑)
幼い頃からネコ好きだった私は、この絵本を読んでは、うちにもノラネコが来ないものかと祈ってました。
絵。"お母さん"がちょっとアンパ○マンに似ていて、幼心にドキドキでした(笑)
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| NIGHTMARE BEFORE CHRISTMAS ビリケン出版 作者/ティム・バートン 訳者/永田 ミミ子 |
同名の映画の絵本で、映画と同じ年に発表された絵本。話も、おおまかには同じです。
映画語りのほうで、同名の映画については、すでに語っております。大好きなんです、ホンマ(笑)
ハロウィンタウンの王様、ガイコツ男のジャックは、人間を怖がらせる事、暗い世界に生きる事に飽き飽き。
ある時、ひょんな事から彼は、クリスマスの世界に迷い込む。「僕も楽しいクリスマスを作ろう!」はてさて。
もはや毎度の事ですが、これも不気味な絵柄です。ここに普通の絵本の紹介はひとつも来ないのか!
不気味ですが、子供向けにはなっています。振り仮名もあるし、難しくないです。不気味ですが…
他人の迷惑を顧みないけれど、とにかく一生懸命な主人公のガイコツ男・ジャックのドジと笑い悲劇の物語。
ジャック、まぬけで全力投球で可愛いです。関わりあいには絶対になりたくないですが☆
子供向けにしてある雰囲気だけれど…小さい子は泣くんじゃないかなぁ、この絵(苦笑)
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| わるい本 ベネッセ 著者/アランジ アロンゾ |
大人の絵本。大人向けの絵本。お子様には、お薦めできません(笑)
わるもの、うそつき、いじわる等々、わるい人たちの華麗なる日々を漫画と写真で表現。
人といっても、外見は人間ではなく、とてもファンシーなキャラクター達。でも、所詮わるものだらけ。
これも好き嫌いのありそうな、素直に「可愛い」と言える絵(写真)ではありません。そんなのばかりですね(苦笑)
怖さと痛さが含まれた、でもまぬけで可愛くて和める絵本。深刻に受け止めず、軽〜く読み流すが吉。吉?
まぬけで笑ってしまうような話の中に、ちょっと怖い話「わるいゆめ」がぽつりと入っています。
怖いんですが、本当に怖いんですが…好き。精神的な怖さと物悲しさには弱いです。「ただ かなしいゆめ」。
大人向けなので、当然漢字アリのルビ無し。小学校高学年以上の漢字が出てきているかな。
絵だけ見る分には、それほど悪くない…あ、ダメだ。ネコババとか寝食いとかしてる…(=_=;
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| やっぱり おおかみ 福音館書店 作・絵/ささき まき |
読んであげるなら3歳から、自分で読むなら小学校初級向きだそうです。
ひとりぼっちのおおかみの子供が、仲間を捜し歩く。けれど実は、おおかみの生き残りは彼一人。
仲間のいる他の動物たちを羨ましがり、けれど彼らに受け入れられる事は無い。彼が最後に見つけた答えとは?
これも少々不気味と言えなくもない絵柄ですが、各国の古い町並みを思わせる絵が、物語の寂しさを強調。
終始物悲しさと寂しさが漂う本ですが、ラストシーンが…堪りません。ここが私の物語の原点!と言いたいなぁ(笑)
タイトルと作者名から見て取れるとおり、本編はオール平仮名です。読むところも少ないです。
内容は…寂しがりやで心優しいお子様は、泣くかも。この線の細い力強さが、なんとも堪らないんですが。
「け」←名言(笑)
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| NiGHTS 〜翼がなくても空は飛べる〜 双葉社 絵/三宅 拓己 文/狗飼 恭子 |
初っ端からマイナー街道まっしぐら、右手にゲーム。先行きを暗示しているようですね。
人は眠ると、夢の中の世界・ナイトピアを訪れる。たまに間違って、悪夢の世界ナイトメアに迷い込むけれど。
ナイトメアに侵食されるナイトピアを、自由奔放な変わり者ナイトメアン(悪夢の住人)・ナイツと救おう!
…えーと、セガサターンでセガから発売された同名ゲームの、絵本化です。とってもシュールでファンタスティック。
好き嫌いの分かれそうな不思議な絵ですが、話の内容はちょっと不気味で可愛らしい、勇気溢れる冒険物語。
振り仮名がなかったり、少々読み応えのある文字数だったりするので、完全な子供向けではなさそうです。
読んで聞かせてあげるにはいい感じかも。自力で読むなら、漢字が難しいので小学校高学年くらいかな…。
絵がとても綺麗です。クレヨンでザカザカッと描いたようなタッチが可愛い。表情の豊かさが堪りません。
手放しで可愛いと言えるキャラでは(多分)ありませんが、不気味で可愛い世界が好きな方なら…大好きかも。
…はい、かく言う私は大好きです。ナイツ、可愛いなぁ。 |